運転免許の取得
運転免許試験について 運転免許試験は、筆記試験と実技試験からなっています。実技試験を受けるには、試験に使用する自動車を自分で持ち込む必要があります。したがって、こちらで免許を取得した人に連れて行ってもらうなどすれば別ですが、試験会場まで車を運転していくためにも免許証を忘れずに日本からもってきておかなくてはなりません。
運転免許証は必要か
イリノイ州車両法(625 ILCS 5/6)の免除規定(第3項)によれば、「イリノイ州内の大学に通う非居住者及びその同居する配偶者並びに子で、母国の発行する有効な免許証を携帯する者」は、イリノイ州の運転免許証なしで運転することができるとされています。このため、イリノイ大学の留学生とその家族は、「本来は」日本発行の運転免許証があれば、当地で運転免許を取得する必要はありません。(なお、イリノイ州では国際運転免許証は翻訳としての参考に使われることはありますが、法的な意味を持ちません。日本で発行された運転免許証でも、警察官、主要なレンタカー会社の窓口及び保険会社等では、免許証番号をオンライン検索してその内容を英文で確認することができます。過去の国内外における違反履歴等も照会できるようです)
しかし一方で、同法には「ただし、(州内への居住を開始してから)90日が経過した者については、この法律に従い、イリノイ州の運転免許証を申請しなければならない」(同条第7項)という規定もあり、同項の「居住」という言葉の定義について、州と警察との間の理解の違いから訴訟に発展したケースもあるようです(参考:「イリノイ州運転免許証取得のお奨め」(在シカゴ日本国総領事館))。また、仮に90日が経過していない場合であっても、警察官がこうした細かい規定を完全に理解していないことがあり、警察署まで連行された事例もあるそうです。いずれのケースも最終的には立件されなかったり訴訟が棄却されたりしたようですが、仮に上記のような事態に陥ったら面倒ですし時間や費用面のコストもかかりますので、リスクヘッジの一環として、イリノイ州の運転免許証を取得することをお奨めします。
なお、MBA501がはじまると時間的余裕がなくなるため、できればサマースクール期間中に取得されることをお勧めします。
一時的訪問者用運転免許証(TVDL)
イリノイ州では、ソーシャルセキュリティ番号(SSN)がない人は運転免許証やステートIDカードを発行していませんでした。このため、SSNを取得できないFビザの留学生は、運転免許証を取得できないという事態がしばらく続いていました。総領事館や国際的な大企業等の働きかけによって、2005年より、こうした留学生や駐在員の配偶者等を対象とし、一時的訪問者用運転免許証(TVDL)が発行されるようになりました。
TVDLを取得できるのは、滞在許可(I-94;入国時にもらえる半券のようなもの)に記載された有効期限が1年以上であり、かつその残り期間が6か月以上ある人に限られています。このため、留学期間が1年間未満の場合にはTVDLも申請できないので、注意が必要です。
運転免許証の取得
運転免許証は、DMVと呼ばれる試験場で申請・受験・受領します。シャンペーンの試験場は、2012 Round Barn, Champaignにあり、月曜から金曜までの午前8時から午後5時までと、土曜日の午前8時から12時まで、開いています。イリノイ大学は学生の多い町ですので、学校の授業の始まる8月~10月頃は試験場が大変混み合います。特に実技試験は試験官が2~3名しかおらず、 一人30~40分程度かかりますので、一日20~30人しか受けられません。特に、土曜日は半日ですので、係員が並んでいる人数を数えて15人目から後の人は門前払いとなります。朝一で試験場に向かい、ドアが開く10分前くらいから待つことをお勧めします。試験管の一人がとても厳しい方がいて、留学生はかなりの確率で試験に不合格になるという噂があります。
なお、現地の人(たとえばIEIの先生など)に聞くと、シャンペーン市内のDMVは混むので近隣のラントゥールのDMVに行ったら良いといったアドバイスを受けることがありますが、先述のTVDLを発行できるのはアーバナ・シャンペーン周辺ではシャンペーン事務所のみですので、このアドバイスは信用しないようにしましょう。
シャンペーン以外でUIUCから近くTVDLを取得できるDMVは、ブルーミントンのDMV (1510 W Market St, Bloomington, IL)です。シャンペーンDMVに比べとても空いており、スタッフもとても親切なので、時間がある方はブルーミントンのDMVをおすすめします。
取得時に必要なもの
留学生が運転免許証を申請する場合、以下のグループAからCまでの書類を1通ずつ、グループDの書類を2通以上、用意する必要があります。実際には、グループAとBはどちらもパスポートで事足ります。
グループA(署名を証するもの) … パスポート
グループB(フルネーム及び出生日を証するもの) … パスポート
グループC(SSNカード) … SSNカード、または、Form L-676(SSNが発行できない旨を記述したレター)※2016年現在、グループC書類は必要なし
グループD(住所を示すもの)
・アフィダビット(居住の証明レター)
・クレジットレポート(Equifax等の発行するもの)
・アパートの契約書類
・保険の契約書類(いわゆるレンター保険)
・医療保険金請求書
・州内の公的機関等から送付された郵便物
・年金支払通知書
・電話帳
・大学からの学費請求書
・車両登録証
・公共料金(電気、水道、電話(携帯電話を含む)、ケーブルTV(インターネットのみの契約も可)またはガス)の請求書
配偶者のTVDLの取得を考えているようでしたら、このグループDの書類を入手するため、アパートや公共料金の契約、自動車の購入といったものを可能な限り共同名義で行うのがよいでしょう。かつては銀行の小切手帳でも大丈夫だったようですが、2011年現在、共同名義の小切手帳では受け付けてくれません。
料金
筆記試験受験時に$30。筆記試験に合格すると、最初に料金を払い込んだ日から一年の間に実技試験を3回受 けられます。
視力、視野角テスト
視力テストは装置内に見える文字列を読み上げるもの、視野角テストは装置内の両脇に明滅する点(の両方)が見えるかどうかを確認するものです。テスト装置は、のぞき込む形のものを使います。額のところにスイッチがありますので頭を押し当ててください。私は最初スイッチに気づかず"何も見えない"と言って危うく落とされそうになりました。めがねの人は裸眼テストもあるようです。コンタクトははずさなくても良いそうです。なお、合格ラインは矯正視力20/40(日 本でいう0.5)以上、視野角140°以上です。
筆記試験 選択問題
(True/False, 3択、4択)が20問、標識の問題(15の標識図に17の選択肢を当てはめていく形式)が15問あります。Illinois Rules of the Roadの章末問題を一通りやっておけば不合格になることはまずありませんが、文章に慣れてないと英文解釈で手間取るかもしれません。時間はほぼ無制限(Office hourが終わるまで)、辞書使用可(電子辞書は不可)です。数問のミスは、その場でやり直して合っていれば合格にしてくれるようです(ほとんどのアメリカ人はそうしていました)。
<Tips>
* 4択問題で選択肢に"All of the above"があるとそれが正解。
* 標識問題では"Stop"の文字や"School Signs"の絵は隠れていますので外形だけで判断できるようにしておきましょう。裏表紙のOther Special Signsの"Slow Moving Vehicle"は必出です。
実技試験
最初に試験官に呼び出されると、「車に乗って窓を開け、エンジンをかけておくように」と指示されます。最初は自動車の整備テストです。試験官がまず車の前に立って、「右ウインカーをつけろ」「左」「ホーンを鳴らせ」と指示します。次に車の後ろに回って、「右ウインカーをつけろ」「左」「ブレーキを踏め」と指示しますので従ってください。
次に試験官が助手席に乗ってきて、試験の説明をします。「今から基本的な運転技術のテストをする」「交通ルールを守って、私の指示に従って曲がったり止まったりしなさい」「特に何も指示がないときはそのまま直進しなさい」というようなことを言われます。
試験コースは一般道を使った約20分程度のコースです。制限速度、優先道路、信号、踏切、Stop、登り坂の道路脇への駐車、切り返し、車線変更、右折、 左折、一方通行、赤信号での右折等がルール通りに出来るかどうかチェックされます。コースとチェックポイントは地図を参照してください。試験官により多少 コースは異なりますが大きく外れる事はありません
<Tips>
* 上り坂駐車テストの時、"そこのcurb(縁石)のところに寄せて駐車しなさい"と言われますが、日本人には"curve(曲がり道)"に聞こえます。curveがあるところまで進んでしまって"指示を無視した"と即不合格にされた人もいるようです。
* 上り坂駐車テストは平地で行われることもあります。"ここが上り坂だと仮定すると、どのように駐車すればよいか?"と聞かれます。
* スクールゾーンは登下校時間帯を示すランプが点滅しているときのみ20マイル以下で走行します。それ以外の時に20マイルで走行すると"遅い"といって減点されます。逆に、登下校時間帯に30マイルで走行した人の話は聞いたことがありませんが、おそらく即不合格でしょう。
* ちなみに、スクールゾーンでは通学時間帯にとても頻繁に(学校が始まる9月頃はほぼ一日おき)ネズミとりを実施しており、10マイルオーバーで捕まると裁判所行きとなります(経験者あり)。
* 優先道路から非優先道路に左折していく時、具体的には、University Ave. からChurch St. へ抜ける路地へ入るときに、非優先道路側で自動車が待機していても、一時停止すると減点となります(優先道路側の車は停止してはならない。University Ave.は一方通行なので対向車はありません)。
* 一方通行の道に左折して入っていくときには、手前側、つまり左レーンに入らないといけません。具体的には、Mattis Ave.からUniversity Ave.に入るときです。ここで、日本の左側通行の感覚を取り戻さないように注意しましょう。
* 踏切では、日本と異なり、一時停止してはいけません。但し、手前で減速して左右の確認をしないと減点される場合があります。なお、一般のドライバーで踏み切りの手前で減速する人はまずいません。
* "NO TURN ON RED"の標識が信号に付いていない限り、赤信号で右折出来ます。なお、"赤信号で右折"のテストは省略されるようになってきているようです(2001年3月現在)。
* アメリカの信号は日本と設置位置がやや異なります。日本の信号は基本的に道路の上空にありますが、アメリカの信号は道路脇の、標識がある位置にあることが多いです。目線の使い方は、頭で理解していても体が対応するまでに意外と時間がかかりますので練習が必要です。
不合格時
実技試験に不合格となった場合は、レシート(受験結果票)を受け取って帰ります。レシートは次回の受験に必要です。
合格時
実技試験に合格すると、ライセンスに使う写真を撮ってもらい、ライセンスに使うサインを書くと、約10分後にLicenseができあがります。
免許が先か、車が先か
ある保険業者に聞いた話では、国際免許証でもイリノイ免許でも自動車保険代に差は無いそうです。(保険業者によって異なりますが、近い将来に取得することを前提に保険料金は算出されることがおおいようです)従って、車を先に買ったほうが良さそうです。但し、一括払いで車を購入する場合は国際免許でも全く問題ありませんが、ローンやリースを組む場合にはイリノイ免許の提示を求められるようです。